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入門ゼミ「自分の『やりたいこと』探し」まとめ

2015年度の入門ゼミ「自分の『やりたいこと』探し」は,研究室学生で「起業家マインドを持つエンジニア」コースを志願した「まりまり」と一緒に企画・設計・運営しました。募集文は次の通りです。

自分の「やりたいこと」探し

このセミナーは,大学に入学したが,取り立てて「目的」や「やりたいこと」を見いだせていない学生向けのセミナーである。学生生活を有意義にするためにも,自分の価値観にマッチした企業に就職するためにも,早めに自分の「やりたいこと」を見つけた方が良い。このセミナーでは真の意味での「自分探し」をしながら,自分の前向きな気持ちを引き出し「志」を「掘り起こす」ことを行う。

どのようなことを行ったかは「まりまり」のブログに詳細に書かれていますので参照ください。

  1. 入門ゼミ 第1回『人生曲線を描いてみよう』
  2. 入門ゼミ 第2回『私はどんな人?』
  3. 入門ゼミ 第3回『少し先の未来を思い描く座談会』
  4. 入門ゼミ 第4回『ビジネスモデルを描いてみよう』
  5. 入門ゼミ 第5回『目標宣言文を作ろう』
  6. 入門ゼミ 振り返り<その1>
  7. 入門ゼミ 振り返り<その2>

コンセプトについて

ベースにした本はビジネスモデルYOUです。

ビジネスモデルYOU

ビジネスモデルYOU

この入門ゼミ「自分の『やりたいこと』探し」のルーツは2013〜2014年度に実施した入門ゼミ「起業に関心のある人,集まれ!」にあります。この募集文は次の通りです。

起業に関心のある人,集まれ!

このセミナーは,起業,すなわち自分でビジネスを立案して実行することに関心がある学生向けのセミナーである。起業をするためには,ビジネスモデルの立案が不可欠である。そのビジネスモデルが,起業したい本人の得意を生かしていたり,学んできたこと・これから学ぶことと密接に関連付けられると実現する可能性が上がる。このセミナーでは,真の意味での「自分探し」をしながら,将来のビジネスモデルを立案していく。

「起業に関心のある人,集まれ!」もそれなりにうまくいっていたのですが,高校から大学に入りたての学部1年生で起業に関心がある学生がもともとそれほど多くないことに起因する問題がありました。入門ゼミでは,各教員が提示するテーマの中から学生が第1希望,第2希望,第3希望と選んでいき,1つのテーマに応募多数だと抽選,逆に応募の少ないテーマは抽選に漏れた学生が回ってくるというテーマの決め方をしています。極端にテーマに関心のある学生が少ない時には,そもそもそのテーマを選んでいない学生が回ってくることもありえます。つまり,あるテーマを選ぶ学生が少ない状況だと,そのテーマに関心が高い学生と低い学生が入り混じることになります。

そのような状況下では運営が難しくなります。一般に,バラツキが多い学生集団に対して授業をすると,早く学習目標を達成できる学生と遅く達成する学生が出てくるのは避けられません。早く達成する学生にペースを合わせれば授業についていけない学生が出ますし,遅く達成する学生にペースを合わせれば早く達成した学生が時間を持て余します。このようなバラツキに対応するための教授法はもちろん存在しますが,このときの入門ゼミでは察知するのが後手に回り対応が不十分になってしまいました。

その反省を踏まえ,2015年度の入門ゼミではターゲットを絞ろうと次の2つの案を考えました。

  1. 従来通り起業意識の高い学生をターゲットにすること
  2. あえて起業意識の薄い学生をターゲットにすること

起業意識の薄い学生に対するビジネスモデルYOUの意義は「自分探し」にあると私は考えていました。

コンセンプトを練る前の段階で「まりまり」に入門ゼミの企画から運営まで主体的に関わってもらおうと考えていました。そこで,上記の2つの案について「まりまり」に選ばせたのです。そうしたら「起業意識の薄い学生」を選びました。

その選択を踏まえて,一緒にコンセプトを練り上げました。それが次の募集文に集約されています(再掲)。

自分の「やりたいこと」探し

このセミナーは,大学に入学したが,取り立てて「目的」や「やりたいこと」を見いだせていない学生向けのセミナーである。学生生活を有意義にするためにも,自分の価値観にマッチした企業に就職するためにも,早めに自分の「やりたいこと」を見つけた方が良い。このセミナーでは真の意味での「自分探し」をしながら,自分の前向きな気持ちを引き出し「志」を「掘り起こす」ことを行う。

このときに入門ゼミを統括する先生からリクエストがきました。「これから学科で専門的に学ぶ『情報』について学んだり意識付けしたりするようなことを加えてほしい」とのことでした。それに対し,熟慮した上で次のように返答しました。

例年,さして情報に思い入れなく進学し,入学後に意欲をなくす学生が多いので, 入門ゼミの山崎進担当分は,そういう学生をターゲットにしようと思っています。 情報メディア工学科に進学した意味を見つめ直すようなワークを行う予定です。 そのため,あえて募集要項には情報っぽいキーワードを入れないでおこうと考えています。

この回答をしたところ,入門ゼミを統括する先生の了解を得られました。

「まりまり」に任せたことについて

「まりまり」に,入門ゼミのデザインや運営をまずは任せてみようと私は考えました。もし「まりまり」がうまくできないところがあったら,いつでもフォローアップするつもりでした。

結果的には,私はほとんど手を出す必要性はありませんでした。「まりまり」はこの手のワークショップの企画・運営は手馴れており,自分で次の参考書籍も見出して,どんどん自力で入門ゼミを形づくっていきました。

ワークショップデザイン――知をつむぐ対話の場づくり(ファシリテーション・スキルズ)

ワークショップデザイン――知をつむぐ対話の場づくり(ファシリテーション・スキルズ)

私が手を出したのは次の2点だけです。

  • 第4回におけるパーソナルキャンバスについての意義と説明
  • 第5回における学生個々人の目標宣言文に対するフィードバックコメント

全体的に,私が授業を運営するより「まりまり」の方が勝っている面もありました。

  • 各回のアイスブレイク: 私は今まであまりアイスブレイクに積極的に取り組んできませんでした。個人的にアイスブレイクがあまり好きではなかったというのが理由です。しかし,アイスブレイク嫌いな私から見ても「まりまり」のアイスブレイクは楽しめるものでした。何より,その後のワークにつながるような伏線的なアイスブレイクになっているのが良いです。私がアイスブレイクに馴染めない理由の1つは,本題と関係のないアイスブレイクは時間の無駄に感じるということでした。それが解消されていた「まりまり」のアイスブレイクに好感を持ちました。
  • 学生目線に立ったきめ細やかな心配り: アイスブレイクに限らずワークにおいても「まりまり」のきめ細やかな心配りはとても良かったです。学部1年生がどんなことを期待していたり不安に思っていたりするのか,実によく目を配ってデザインの隅々にまで気を配っていました。

その結果,参加した学生たちから飲み会に誘われるまで慕われました。「入門ゼミのメンバーで飲み会に行こう」なんて言われるのは,実は初めてのことです。

おわりに

入門ゼミ「自分の『やりたいこと』探し」は,8名の学部1年生それぞれが目標宣言文を自分の言葉で述べるまでになりました。少人数ではありますが,確実に良い方へマインドが切り替わったのではないかと自負します。

もしこのような取り組みがスケールして,学科全体,大学全体,日本全体に広げられるのであれば,「革命」が起きます。そんな未来を夢想しながら,この入門ゼミで得られた成果をどう広げていくかを練っている今日この頃です。

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