あなたの教育魂は読者に届いていますか?〜教育者のためのインバウンド・マーケティング
インバウンド・マーケティングという手法があります。これは一口に言うと ブログやSNSの読者に継続的に情報発信し,ファンにして製品やサービスを購入していただく 新しい時代のマーケティング手法です。インバウンド・マーケティングを使って,これから学生(生徒)になる子たちやその親たちに,私たちの教育について届ける方法,すなわちSNS全盛の現代にふさわしい有効な宣伝方法について考察してみました。
1. まず「誰の」「どんな困りごとを」「どう解決するか」を記述する
インバウンド・マーケティングで,まず大事なのは,提供する製品やサービスが「誰の」「どんな困りごとを」「どう解決するか」を明確にすることです。
私たちの強みx教育研究室のオープンキャンパスの展示「楽しく学べるゲームセンター」を例に考えてみます。オープンキャンパスでは高校生が一番のお客様です。その中でも,私たちの強みx教育研究室に来てほしいのは,プログラミングに興味を持っている人です。
- 「誰の」: プログラミングに興味を持つ高校生
- 「どんな困りごとを」
- 「どう解決するか」
彼らはどんな困りごとを持っているでしょうか。たとえば「プログラミングができるようになりたいけど,やったことがないし,自分にできるのかどうか不安」というような困りごとを持つ高校生は多そうです。
- 「誰の」: プログラミングに興味を持つ高校生
- 「どんな困りごとを」: プログラミングができるようになりたいけど,やったことがないし,自分にできるのかどうか不安
- 「どう解決するか」
これを解決する方法として,私たちが提供する教育プログラムでは,「初心者でも確実にプログラミングできるようになる教育を提供する」ということをしています。明確なコンセプトですね。
- 「誰の」: プログラミングに興味を持つ高校生
- 「どんな困りごとを」: プログラミングができるようになりたいけど,やったことがないし,自分にできるのかどうか不安
- 「どう解決するか」: 初心者でも確実にプログラミングできるようになる教育を提供する
2. 読者が知りたそうなキーワードをあげる
プログラミングに興味を持つ高校生は,なぜプログラミングに興味を持つようになるのでしょうか。一つには,普段からゲームに親しんでいるので「ゲームを創れるようになりたい」と思ったのがきっかけかもしれません。そうすると「ゲームの作り方」「ゲームプログラミング」とかいったキーワードに関心を持っていそうなことがわかります。
そこから「楽しく学べるゲームセンター」の基本コンセプトが生まれます。すなわち,ゲームで楽しく遊んだ後で,実際のプログラムはどんな感じかを解説してもらう,というような展示が高校生に強く興味を持ってもらえそうです。
3. 読者に届く言葉でコンテンツを作成する
1の「誰の」「どんな困りごとを」「どう解決するか」を軸にして,2のキーワードをちりばめた宣伝用のコンテンツを作成します。たとえばこんな感じの宣伝文です。
「楽しく学べるゲームセンター」 オープンキャンパスではロボットテニス,音声カードゲーム,2Dゲームデモを展示します。 さらに先輩学生たちが開発したソフトウェアの仕組みや開発時のエピソードについてもお話しします。 情報メディア工学科に来ると初心者でも先輩たちみたいなプログラマーになれるよ!
ポイントは,読者に届く言葉で書くことです。高校生たちに難解な専門用語をちりばめた文章では伝わりません。「困りごと」に直結するキーワードがないと検索にかかりません。「解決」についてていねいに説明しないと読み捨てられます。読者に「刺さる」ところまで持っていきましょう。
4. 読者が普段見聞きしているメディアを通じて発信する
あとはコンテンツをメディアに発信します。新聞,ラジオ,テレビ,Facebook, Twitter, LINE など,メディアの移り変わりは激しく,世代間でも違いがあったりします。読者が普段見ているメディアを使うのが理想です。
まとめ
これから学生(生徒)になる子たちやその親たちに,私たちの教育について届けてファンになってもらう方法は,次のような手順を踏みます。
- まず「誰の」「どんな困りごとを」「どう解決するか」を記述する
- 読者が知りたそうなキーワードをあげる
- 読者に届く言葉でコンテンツを作成する
- 読者が普段見聞きしているメディアを通じて発信する
もちろん,宣伝通りに教育の中身が伴っている必要があります。教育の中身を充実させるための改善指針を考える上でも,「誰の」「どんな困りごとを」「どう解決するか」について考察する価値があります。