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博士後期課程に進学する際に求められるジレンマとその解消について

本記事では,博士後期課程に進学する利点と,進学する場合に問題となるジレンマについて紹介し,このジレンマを解消するサービスの提供について,告知します.

博士号を取得する利点

もし,ある技術についての専門家でありたい,すなわち,その技術についての最新知識を有していて,かつ,その技術をさらに発展させるような知見を得たいと願うのであれば,その技術領域を修める指導教員のもとで博士後期課程に入学し,その技術領域に属する新規性ある研究テーマに取り組み,そのテーマで博士号を取得することが,有力な選択肢となります.

海外で働きたいと思う場合にも,博士号は有力です.多くの先進国で,博士号を取得していることで就労ビザの取得に有利に働きます.

もし博士号取得に興味を持ったら,ぜひ,その名も「博士号のとり方(E.M.フィリップス/D.S.ピュー著: 原著 “How to Get a PhD”)」という書籍を手に取って,熟読されることを強くお勧めします.

学び直し(学ぶこと)と大学院(研究)の共通点と相違点

今,学び直し(リカレント教育)が大いに奨励されています.学び直しと大学院には,共通する部分も多くありますが,大きく異なる点もあります.

学び直しも大学院でも,自分にとって新しい知見を学ぶことができるという点は共通しています.そのため,この両者は,似たようなことのように思うかもしれません.

しかし,重要な相違点があります.それは学び直しでは既存の知識体系を学ぶが,大学院では,新規性ある研究を行うという点です.

  • 学び直しでは,今まで学んだことがない異分野について学ぶことが中心ですが,そこで学ぶことは,既存の知識体系についてです.
  • 一方,本学(北九州市立大学国際環境工学研究科情報工学専攻)を含む多くの大学院では,新規性のある研究を行います.
    • 博士前期課程であれば,修了要件として,新規性のある研究を行って,修士論文を書き,発表することが求められます.
    • 博士後期課程であれば,新規性のある研究であることを含む,専攻で定められている要件を満たした上で,博士論文を執筆し,公聴会で審査を受けて合格することで,博士号取得となります.

新規性ある研究というのは,自分にとって新しい知見であることという意味ではありません.そうではなく,新規性ある研究というのは,世界で初めてなされる研究であるということです.すなわち,研究テーマと研究計画を立案する段階で,その研究で明らかにしようとしていることが新規性がある,すなわち,世界で初めてなされることであるということを立証しないといけないわけです.

言い換えれば,博士号は,単に新しい分野を修めたことを示すだけではなく,その分野において,世界で初めてなされるような研究を完遂したことの証です.したがって,博士号を取得したことは,学び直しを修めたことよりも,専門家として大きなインパクトを持ちます.

博士後期課程の研究テーマ設定に関するジレンマ

一方で,博士後期課程の進学では,研究計画を提出して,面接で発表することが求められます.すなわち,そのような新規性ある研究テーマを,自分一人であらかじめ見出し,新規性があることを立証することが求められているわけです.でも,外部から進学する場合や,社会人が博士後期課程に進学する場合,そんなこと自力で出来ないと思いませんでしたか?

ジレンマの解消

そのため,博士後期課程への進学を目指す場合には,まず指導教員にアポイントメントをとり,研究テーマの設定や研究計画の立案から指導を受けるべきであると,私は考えます.

まずは,志望の意思と,現在の準備状況について,率直にメールしていただければと思います.それを踏まえて,研究テーマの設定や研究計画の立案に何が不足しているか,当方で指導を引き受けられるかなどについて返信します.その後,週1回程度,30分〜1時間程度のネットミーティングを経て,研究テーマの設定や研究計画の立案をしていきましょう.

私,山崎進は,新規の研究テーマの立案,および,その指導の経験が豊富です.新しい研究にチャレンジし続けることについてにも示したように,自分にとってまるで新しい分野に飛び込んだ経験も豊富で,そのやり方を指導することもできます.安心して相談してもらえたらと思います.

なお,もし準備が極端に不足していて,長期にわたる研究指導が必要だと判断した場合には,研究生の制度や博士前期課程への進学をお勧めすることがあります.また,研究テーマによっては,他の指導教員を勧めることもあります.

山崎進研究室で募集している大学院外部受験生について

大学院外部受験生の募集についてでは山崎進研究室で募集している大学院外部受験生について示しています.

「宇宙機向け/高性能並列エッジ・コンピューティング向けの領域特化アーキテクチャとソフトウェアの研究」と限定こそしましたが,特に社会人の場合には,相談できる窓口も少ないと考えられることから,このテーマに限らず,組込みソフトウェアやソフトウェア工学など,より広い領域についても,相談を受け付けますので,気軽に相談ください.

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