ゲームを後ろめたく思う君へ贈る3つの話
ゲームが楽しくてついつい時間を忘れてのめり込んでしまうけど,親や先生からは「ゲームは役に立たない」「勉強しなさい」と言われていて,反感を覚えつつも正しいことだと気づいていて,なんとなく後ろめたく思いながら悶々としている君へ。
その後ろめたさを克服する3つの話を贈ろう。
割と誰でも思いつく克服法の1つは,ゲームを消費する側から創る側に回ってみるということである。プログラミングができるようになれば,簡単なゲームなら自分で創れるようになる。もしすでにパソコンを持っているならば,試しに開発環境を手に入れてプログラミングしてみるのも一手だ。絵心があるなら,ゲームのキャラクターを想像して描いてみるのも良いだろう。
もしプログラミングやデザインが嫌いでないならば,情報系やデザイン系の進路を選んでみると良い。プログラミングやデザインのスキルは,ゲーム以外の分野でも大いに役立つスキルだ。ひらたくいうとプログラミングやデザインができるなら就職活動は有利に働く。そういう可能性を示せば親や先生に自分の進路を納得させることもできるだろう。
そういう進路を志すならば,数学,理科,英語,社会,国語といった普通の勉強はやっぱり役に立つ。数学と物理は物体の動きを計算するのに必要な知識とスキルにつながる。最先端のプログラミングやデザインの情報は英語で書かれることが多い。社会,国語,生物,化学,地学の雑学はゲームのアイデアにつながるかもしれない。国語と英語はプログラミングやデザインに不可欠なコミュニケーション能力や論理的な文章を読み書きするスキルにつながる。必要な勉強ならば,受け入れて勉強する気になるかもしれないよね。
さて2つ目の話に移る。いったんゲームを創る側の立場に立つと,ゲームを見る視点が変わる。この動きはどうやって実現したら良いんだろう,このゲームの面白さの秘密は何だろう,この世界観はどこから着想したのだろう,etc. そういう視点を得ると,もっとゲームは楽しくなる。
そういった「ゲームを科学する」という考え方は,現代では研究分野にもなってきている。たとえばゲーミフィケーションという研究分野は,ゲームの面白さを実社会に仕組みの中に取り入れてより良くするという発想だ。たとえば,教育の中にゲームの要素を取り入れて学習者が夢中になって勉強するようにする,といったことだ。ゲームニクスという研究分野は,ゲームの操作のしやすさに注目している。ほとんどのゲームって,マニュアルを見なくても操作方法や,ゲームで何をすべきかが直感的にわかりやすい。世の中のアプリや家電などがゲームみたいに直感的にわかりやすく操作できるようにするのがゲームニクス。
このように「ゲームを科学する」ことは,実社会を豊かにする発想源となる。だからゲームを漫然とプレイするのではなく,なぜそのゲームは面白いのか(あるいは逆につまらないのか)をよく考察するといい。そして,たとえば日々の勉強や放課後のクラブ活動をゲームの考え方で面白くする工夫を考えてみよう(これはゲーミフィケーション)。あるいは,身近なアプリや家電をつかいやすくする工夫を考えてみよう(これはゲームニクス)。
一番大事な最後の話に移る。社会に出ていない君たちには想像つかないかもしれないけど,リアルな人生の方が架空のゲームより圧倒的に楽しいという可能性が大いにあり得るということを伝えたい。ゲームで遊んでいるだけでは,時間と体力とお金を浪費するだけで大して役に立たない。でも良い仕事をすると人の役に立つ。そして「人の役に立つ」という実感を持つことは生きがいにつながる。そういう実感はゲーム以上に楽しいものなんだ。
たとえば人生はRPGそのものだったりする。チームを組んで,役割を担って,クエストを解いてというのは,現実の仕事も同じだ。そう,社会人はみんな実社会を冒険する勇者なんだ。
経験値を積んで,レベルアップして,クラスチェンジをしてというのも,同じ。そう考えると,スキルを磨くこと,自分の現在の能力を把握すること,自分の潜在的可能性を想像すること,潜在的可能性を最大限発揮する職業に就くことは,とても大事なことだね。「天職」を求める活動とも言える。
私たちの「強み x 教育 研究室」という名前には,君の潜在能力を見極めて天職を一緒に探すという意味が込められている。私たちはプログラミングやITが得意なのでそういう仕事に就きたい人にはもちろんオススメだけど,本当は自分の将来の進路に漠然と悩んでいるみんなの相談に乗りたいなと思っている。そういうわけで,気軽に相談してね。