ZACKY's Laboratory 山崎 進 研究室 Page Topへ

ビジョンとミッションを改訂しました。ビジョンとミッションを立てることの意義については倉貫さんの「ビジョンとミッションの大切さ 〜 ミッションの気付きとビジョンの見つけかた」を参照ください。

ビジョンとミッション

ビジョン

私たちが大事にしている価値観は多様性です。現代の日本社会に閉塞感を感じる人が多いと言われていますが,その一因は,本当は個々人で多様な意見を持っているのに,「空気を読む」ことを暗黙のうちに強要して一様な意見しか言わなくなるからじゃないでしょうか。そして多様性は創造力・想像力を生み出す源泉です。多様になれば,閉塞感を打ち破るような発想がどんどん飛び出るのではないでしょうか。

もっと多様性を受け入れるような社会にしたい。それが私たちの願いです。そういう社会にするためには,大規模組織が少数しかない選択肢の少ない世の中よりも,いろんな個人や小規模組織がそれぞれの価値観で活躍するような選択肢の多い世の中の方がいいと私は信じています。そして教育も,似たような人材を大量生産するような画一的な教育よりも,学生それぞれの個性を見極めて長所を伸ばすような教育の方が望ましいと私は信じています。

多様な価値観が並立する社会を支える個人や小規模組織を多く輩出・支援する

生理的欲求や安全欲求がほぼ満たされた現代日本においては,いずれ個人それぞれが自己実現を目指す社会に変わっていくと信じています。そのような社会では,それぞれの多様な価値観を尊重しあうようになると私たちは考えます。その実現に向けては,全国民や大規模組織が単一の理想を追い求めるよりも,個人または小規模組織がそれぞれの価値観にしたがって迅速に行動する方が有利です。私たちは,確固たる価値観に裏付けられた機動性の高い個人や小規模組織を多く輩出・支援する教育者・研究者であろうというビジョンを掲げます。

個性に合わせた長所を伸ばす教育が当たり前の世の中にする

個人それぞれが自己実現を目指す社会にしていくためには,まず自分の潜在的な可能性に早く気づくことが大事です。そして,その可能性に賭けて積極的に学びを深めて実践の機会を設けることが必要です。その実現に向けては,学習者一人一人に目を配れるように,また学びを促進させていくように,教育のあり方を変えていくことが必須です。私たちは,そういう新しい時代にふさわしい教育を広げる教育の伝道者であろうというビジョンを掲げます。

ミッション

私たちは今までにソフトウェア工学,マーケティング,教育の3つの分野にまたがる領域を研究してきました。そこで,ビジョンで掲げた多様な価値観を受け入れる社会に変えていく原動力になるような,それぞれの分野の専門家を支援したり育成したりすることをミッションとしています。 ソフトウェア工学とマーケティングの人材が連携すると,ITを駆使した新時代のビジネスを興すことが可能になります。このような人材をたくさん育成するには教育の力が欠かせません。これら3つの分野にまたがるミッションによってビジョンで掲げる多様性を受け入れる社会の実現に近づけます。

IT・組込みシステムを活用・開発する多能工プログラマを育成すること,多能工プログラマ育成につながる技術コミュニティを支援すること

ソフトウェアは今後一層重要になります。ソフトウェア開発では人が最も大事な財産です。現在ではあらゆるコンピュータやデバイスがインターネットにつながります。またソフトウェアは,私たちのビジョンに示すような機動性の高い個人や小規模組織が社会に対し大きな影響力を持つことに貢献します。そのような支援をするためには,開発工程やいわゆるIT系・組込み系といった業界ごとに分断された狭い領域に特化した人材ではなく,工程や業界の枠を超えて1人でシステム全体を開発できる多能工プログラマが求められるでしょう。また,多能工プログラマには幅広い知識と経験が必要です。そのため,多能工プログラマを育成するにはたくさんの分野の専門家の力を借りる必要があります。よって専門家が集う技術コミュニティにコミットしていくことも大事です。私たちはソフトウェア工学と教育工学の両方の知見に基づき,優秀な多能工プログラマを1人でも多く輩出し,それにつながる技術コミュニティを支援することを目指します。

確固たる価値観に基づいて未来の社会をデザインし行動する起業家を支援すること,およびそのような起業家マインドを持ったエンジニア,マーケッタなど起業家に直接貢献する人材を育成すること

私たちは,多様な価値観を尊重しあう社会の実現には,機動性の高い個人や小規模組織が多数存在することが不可欠だと信じています。その中核的な原動力は,確固たる価値観を持って行動する起業家だと私たちは考えます。社会の問題のほとんどは解がただ1つとは限りません。そもそも解が存在しなかったり,理想的な解が存在しても現実的でなかったりすることもあります。そのような問題を解決するには,さまざまな学問や技術を駆使して,実現可能な解を見つけ出していくこと,すなわちデザインの考え方が重要です。私たちは,まず既に活動している起業家にたいし共同研究・開発や人材育成などの面で支援します。また,学生や起業家を目指す人に専門分野の枠を超える学びと様々な社会問題に挑戦する機会を提供することで,デザインの考え方を習得した行動力ある起業家の卵や,起業家に共感しデザインやマーケティングで直接貢献できる人を1人でも多く輩出することを目指します。

教える技術のスペシャリスト(インストラクショナル・デザイナ)を支援・育成すること

個人それぞれが自己実現を目指す社会に変えていくには,教育の力が不可欠です。一人でも多くの優れたプログラマや起業家の卵たちを育てるのにも,教育の果たす役割は大きいです。効果的に教育するには,教える内容と教える技術の両方が必要です。しかし,今の教育の現場には教える技術を持つスペシャリストが決定的に不足しています。そこで,私たちは教える技術のスペシャリストの力を存分に発揮できるように支援していきます。具体的には,授業研究の成果を学会や教科書,ブログ,勉強会等の様々な形で社会に還元する仕組みを作っていきます。私たちは,そのような成果や仕組みによって全国に散在する教える技術のスペシャリストを支援したり輩出したりすることを目指します。

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