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書籍刊行のお知らせ

このたび北九州市立大学の同僚の先生方たちと共著で書籍を出版しました。ソフトウェア工学概論の授業づくりについて紹介しています。

本全体としては,北九州市立大学での FD (ファカルティ・デベロップメント) の数々の活動を紹介しています。

教師が変わる, 学生も変わる —ファカルティ・ディベロップメントへの取り組み (シリーズ 北九大の挑戦 3)

教師が変わる, 学生も変わる —ファカルティ・ディベロップメントへの取り組み (シリーズ 北九大の挑戦 3)

私が書いた部分の出だしだけご紹介します。

アクティブ・ラーニングの理想像を目指す授業づくり

はじめにーアクティブ・ラーニングの目指す理想像

学生にもっと自主的に学んでほしい。学生たるもの知的好奇心が旺盛であってほしいという願いは,大学教員ならば,ため息をつきながら誰しも思うところであろう。学生にあふれるような知的好奇心さえあれば,大学にはそのような知的好奇心を満たす要素は,図書館,ゼミ,卒業研究指導など,実にたくさんある。しかし,残念なことに,多くの学生はこのような向学心に乏しいように見受けられる。いったいどうやったら知的好奇心や向学心を持たせられるのでだろうか。

そうはいっても,それは学生の責任ばかりではない。もし学生の向学心を育もうというのであれば,教える側が旧来の講義スタイルのままであって良いのだろうか。何の工夫もない一方通行の講義で健全な向学心を育める確率は,実は低いのではないだろうか。大学教員のみなさんは確かに旧来の講義の中でも自らの知的好奇心を育んで学問の道に入ったかもしれない。しかしそれは全体から見れば数少ない,ラッキーな事例に過ぎないのではないだろうか。もしたくさんの能動的な学生を育成したいのであれば,それ相応の取り組みをする必要がある。

最近,教育界で流行している「アクティブ・ラーニング」というキーワードは,今までにたくさんの論者がそれぞれに解釈している状態であったが,筆者は前述のような「学生が能動的に学習する」という理想的な状態,もしくはそれを目指した様々な取り組みのことを指すという解釈をした。これは多くの大学教員にとっても望まれる理想像として受け入れられるであろう。

とくに筆者が指導するソフトウェアの技術は日進月歩ですぐに技術が陳腐化するため,単に技術を1回学べば終わりではなく,生涯新しい技術を学び続ける必要がある。技術を学び続ける姿勢を身に付けることは,アクティブ・ラーニングの目指す状態とも合致する。ソフトウェアの分野ではとくにアクティブ・ラーニングを渇望している状態だと言っても過言ではない。

アクティブ・ラーニングが目指す「学生が能動的に学習する」という状態は,大学教員だけが求めているわけではない。文部科学省も大学教育の方向性として,アクティブ・ラーニングを強く打ち出している。文部科学省の中央教育審議会大学教育部会での「大学教育部会の審議のまとめについて(素案)」には,アクティブ・ラーニングに力を入れるべきであると主張されている。この文章の中で,先の見えない産業界や地域社会においては活路を見いだせる原動力となる人材が切望されており,「生涯学び続け,どんな環境でも勝負できる能力」を備えた人材が必要だと分析している。すなわち,産業界や地域社会も学生が能動的に学習することを望んでいると主張している。このようにアクティブ・ラーニングに対する社会的な要請・期待はとても大きい。自分たちも望んでいることで,社会からも望まれていることだとしたら,取り組まない手はないだろう。

続きはこちら。他の記事も読み応えありそうです!(まだ手元に届いていないのです。。。)

教師が変わる, 学生も変わる —ファカルティ・ディベロップメントへの取り組み (シリーズ 北九大の挑戦 3)

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