研究室の経営的側面〜堅実 vs 挑戦
とくに科研費のシーズンになると,堅実なテーマで行くべきか,挑戦的なテーマで行くべきか,悩むものだと思います.研究室の経営的側面でお話しすると,どちらか一方ではなく,両方組み合わせるポートフォリオなのかなと思います.
研究テーマを1つしか選べない時
研究者のライフステージの中で,研究テーマを1つしか選べない時はあると思います.たとえば博士後期課程の時,何かの研究プロジェクト専任の研究員の時など.
その時には,自分の一番得意なことを主軸にして,その中で挑戦的な展望を見据えつつ,普段やることは堅実なことをして点数を着実に稼ぐ,というのが最善手だと思います.
そのようなテーマ設定の方法については,指導教員なり,上司のPIの人なりに相談してください.
研究テーマを複数並行して進められる時
このような場合は,多くの場合,PIであることが多いと思います.
まず堅実なテーマで,最低限の研究室の運営費用を確保します.最低限必要な研究室の運用費用については,経験を踏まえて,ご自分で算定ください.
運営費用を確保できたら,挑戦的で大きな配分額の研究費の申請にチャレンジしてみてください.社会的意義のあるテーマだと,よく探すと,大型の研究予算がついていることが多いです.多くの大学の研究者は,科研費とせいぜいJST, AMEDくらいしかウォッチしていないので,もっと視野を広げて,幅広く見渡してみてください.なお,社会的意義のあるテーマをどう探したらいいかわからない人は,社会的課題の見つけ方〜官公庁の白書を読もうをどうぞ.
たとえ,数学みたいに,社会とはとても縁遠そうな研究分野であったとしても,境界領域に目をつけると,社会的意義のあるテーマを設定することは十分可能なのではないかという仮説を私は持っています.新しい研究にチャレンジし続けることについてというような記事も書いていますので,もしよかったら読んでみてください.
なお,こういうチャレンジングなことは,任期付きの身分だと,なかなか手を出しにくいものだと思います.私自身,そうでした.なので,任期なしのポジションを増やせるようにすることには賛成します.
P.S. 私は今,過去最高額(採択されれば補助総額最大30億円!)にチャレンジしています.しかも,これ1つではありません.