ZACKY's Laboratory 山崎 進 研究室 Page Topへ

新しいことを始める時は,何かをやめる必要がある。時間は有限なので。

もちろん,そのことは頭ではわかっているんだけど,私もそうなんだけど,何でもすぐに興味を持っちゃうタイプの人はなかなか出来ない。

そういうときには,まず,ものごとの優先順位を意識すると良い。名著「7つの習慣」にも書いてあるこの原則は,やっぱり正しい。私の場合だと,ビジョンとミッションを持つようになってから,何か始めたいと思ったときに,まず一呼吸おいてからビジョンとミッションとの関係を自分の頭の中で自分に説明するようにしたんだ。その説明の納得感をもとにして,自分の中で重要かそうでないか判断する。

重要だと思ったものについては,緊急かどうかを判断する。これも「7つの習慣」に書いてある。緊急で重要なことは,今すぐにやる。これは簡単だ。でも,このとき忘れてはいけない点は,新しいことを今すぐやるということは,その分,何かが後回しになるということだ。その何かは,いつかはやらないといけない。そもそも,そういうことが起こらないように,普段からゆとりを持たせるということが大事だ。

問題は「7つの習慣」にもあるように「重要だけど緊急でないこと」だ。これは意識しないとすぐに忘れてしまう。そしてそれが必要になる状況に直面して初めて「やっておけばよかった」と後悔する。偉そうにそう言う私にも思い当たることは色々ある。難しいことなんだ。「重要だけど緊急でないこと」は,それをするための時間を確保することが大事。もしそれが一人でやる作業ならば,早朝の誰にも邪魔されない時間を確保しよう。誰かと行う共同作業だったら,定期的にスケジュールを入れてしまう。このときも新しいことをするということは,そのぶん何かを後回しにすることだということは忘れずに。

重要じゃないことは,引き受けないようにしないといけない。とくに緊急だけど重要じゃないことは,それをやらないようにすむ工夫を考える。そうすると新たな時間が生まれる。理屈は簡単だ。

でも,いざ実践しようとすると,かなり難しい。よく言われるのが「私は重要じゃないと思うのだけど,うちの会社の仕事だからやらなくちゃいけないのです」という言葉。それは自分のビジョン・ミッションと会社のビジョン・ミッションが合っていないという問題から起こる現象だ。それは,その会社にいるならば合わせるようにしないといけない。そうでなければ,転職か起業だ。

たぶん,その現象が起こっているときのほとんどは「やらされ感」で仕事をしている状態じゃないだろうか。私も今でも「なんでこんな仕事をしなくてはならないのだろう」と愚痴をこぼしたくなるようなことに直面することが無くはない。ただ,そういう場合は,(1)自分の本当のビジョン・ミッションに目覚めていないか,(2)自分のビジョン・ミッションとその仕事の間の真の関係性に気づいていないか,(3)その仕事をすべき別の人が存在するか,(4)そもそもそんな仕事は要らないか,だいたいどれかに帰着するように思う。

特に若くて経験の浅い人は,(1)(2)が多いかもしれない。そういう場合は基本的には上司や同僚,顧客といった人たちと,仕事について意見を交わすのが地道な解決策。自分の気づいていなかった視点が得られれば,考え方も変わると思うんだよね。

(3)(4)の場合は,仕事のやり方を変えるか,受け入れるかのどちらかかな。仕事のやり方を変えるのが常にベストとは限らない。変えるのにも時間がかかるからね。苦労の割に大して報われないなら,変えないで受け入れるという選択肢もある。その仕事は実は重要な仕事なんだよ。

<< 私が Medium を書き始めた理由 「ソフトウェア開発の教育のビジョンを語ろう」@日本ソフトウェア科学会大会>>